論文問題鑑定理論(論文問題)

【論文問題4★☆☆】借地権

論文問題
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論文問題

問題
借地権の鑑定評価に関する以下の問に答えなさい。
(1) 借地権の定義について述べなさい。
(2) 借地権の鑑定評価に当たって、留意すべき事項を述べなさい。
(3) 借地権の価格について述べなさい。
(4) 借地権の鑑定評価について述べなさい。
(5) 借地権の鑑定評価に当たって、考慮すべき事項について述べよ。
不動産鑑定評価基準
留意事項
要説

 

⑴ 借地権の定義について述べなさい。
宅地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等に分けられる。
借地権とは、借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。
不動産鑑定評価基準総論第2章
⑵ 借地権の鑑定評価に当たって、留意すべき事項を述べなさい。
借地権の鑑定評価に当たって留意すべき事項は次のとおりである。
① 借地権単独では取引の対象とされないものの、建物の取引に随伴して取引の対象となり、借地上の建物と一体となった場合に借地権の価格が顕在化する場合がある。
② 宅地の賃貸借契約等に関連して、借地権者から借地権設定者へ支払われる一時金には、一般に、(ア)預り金的性格を有し、通常、保証金と呼ばれているもの、(イ)借地権の設定の対価とみなされ、通常、権利金と呼ばれているもの、(ウ)借地権の譲渡等の承諾を得るための一時金に分類することができる。これらのほか、定期借地権に係る賃貸借契約等においては、賃料の前払的性格を有し、通常、前払地代と呼ばれているものがある。
これらの一時金が借地権価格を構成するか否かはその名称の如何を問わず、一時金の性格、社会的慣行等を考察して個別に判定することが必要である。
③ 定期借地権の鑑定評価に当たって留意すべき事項は次のとおりである。
(ア)定期借地権は、契約期間の満了に伴う更新がなされないこと
(イ)契約期間満了時において、借地権設定者に対し、更地として返還される場合又は借地上の建物の譲渡が行われる場合があること
④ 借地権の鑑定評価においては、預り金的性格を有する一時金についてはその運用益を、前払地代に相当する一時金については各期の前払地代及び運用益を、それぞれ考慮するものとする。
不動産鑑定評価基準留意事項各論第1章
⑶ 借地権の価格について述べなさい。
借地権の価格は、借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づき土地を使用収益することにより借地権者に帰属する経済的利益(一時金の授受に基づくものを含む。)を貨幣額で表示したものである。
借地権者に帰属する経済的利益とは、土地を使用収益することによる広範な諸利益を基礎とするものであるが、特に次に掲げるものが中心となる。
ア 土地を長期間占有し、独占的に使用収益し得る借地権者の安定的利益
イ 借地権の付着している宅地の経済価値に即応した適正な賃料と実際支払賃料との乖離(以下「賃料差額」という。)及びその乖離の持続する期間を基礎にして成り立つ経済的利益の現在価値のうち、慣行的に取引の対象となっている部分
不動産鑑定評価基準留意事項各論第1章
(4) 借地権の鑑定評価について述べなさい。
借地権の鑑定評価は、借地権の取引慣行の有無及びその成熟の程度によってその手法を異にするものである。
ア 借地権の取引慣行の成熟の程度の高い地域
借地権の鑑定評価額は、借地権及び借地権を含む複合不動産の取引事例に基づく比準価格、土地残余法による収益価格、当該借地権の設定契約に基づく賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元して得た価格及び借地権取引が慣行として成熟している場合における当該地域の借地権割合により求めた価格を関連づけて決定するものとする。
この場合においては、次の(ア)から(キ)までに掲げる事項(定期借地権の評価にあっては、(ア)から(ケ)までに掲げる事項)を総合的に勘案するものとする。
(ア)将来における賃料の改定の実現性とその程度
(イ)借地権の態様及び建物の残存耐用年数
(ウ)契約締結の経緯並びに経過した借地期間及び残存期間
(エ)契約に当たって授受された一時金の額及びこれに関する契約条件
(オ)将来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件
(カ)借地権の取引慣行及び底地の取引利回り
(キ)当該借地権の存する土地に係る更地としての価格又は建付地としての価格
(ク)借地期間満了時の建物等に関する契約内容
(ケ)契約期間中に建物の建築及び解体が行われる場合における建物の使用収益が期待できない期間
イ 借地権の取引慣行の成熟の程度の低い地域
借地権の鑑定評価額は、土地残余法による収益価格、当該借地権の設定契約に基づく賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元して得た価格及び当該借地権の存する土地に係る更地又は建付地としての価格から底地価格を控除して得た価格を関連づけて決定するものとする。
この場合においては、前記ア(ア)から(キ)までに掲げる事項(定期借地権の評価にあっては、(ア)から(ケ)までに掲げる事項)を総合的に勘案するものとする。
不動産鑑定評価基準各論第1章
(5) 借地権の鑑定評価に当たって、考慮すべき事項について述べなさい。
借地権の鑑定評価に当たっては、以下に述べる諸点を十分に考慮して相互に比較検討すべきである。
① 宅地の賃貸借等及び借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度は、都市によって異なり、同一都市内においても地域によって異なることもあること。
② 借地権の存在は、必ずしも借地権の価格の存在を意味するものではなく、また、借地権取引の慣行について、借地権が単独で取引の対象となっている都市又は地域と、単独で取引の対象となることはないが建物の取引に随伴して取引の対象となっている都市又は地域とがあること。
③ 借地権取引の態様
ア 借地権が一般に有償で創設され、又は継承される地域であるか否か。
イ 借地権の取引が一般に借地権設定者以外の者を対象として行われる地域であるか否か。
ウ 堅固建物の所有を目的とする借地権の多い地域であるか否か。
エ 借地権に対する権利意識について借地権者側が強い地域であるか否か。
オ 一時金の授受が慣行化している地域であるか否か。
カ 借地権の譲渡に当たって名義書替料を一般に譲受人又は譲渡人のいずれ
が負担する地域であるか。
④ 借地権の態様
ア 創設されたものか継承されたものか。
イ 地上権か賃借権か。
ウ 転借か否か。
エ 堅固の建物の所有を目的とするか、非堅固の建物の所有を目的とするか。
オ 主として居住用建物のためのものか、主として営業用建物のためのものか。
カ 契約期間の定めの有無
キ 特約条項の有無
ク 契約は書面か口頭か。
ケ 登記の有無
コ 定期借地権等
不動産鑑定評価基準各論第1章

論点ブロック

【論点ブロック】総論2章 不動産の種別及び類型
総論2章の暗記すべき定義を一問一答形式で作成しています。
【論点ブロック】各論1章 価格に関する鑑定評価
各論1章の暗記すべき定義を一問一答形式で作成しています。

蛇足:要説

試験は不動産鑑定評価基準に記載されていない内容は要説から出ると言っても過言ではありません。

時間があれば、要説を読み物として読んでみてください。

特に「具体例を挙げよ」といった問題の答えは、要説の解説ページに記載がありますので。

受験

生には、少々難解かもしれません。よくわからない箇所があれば、質問してみてください。

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