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開発法の基礎(1)~開発法の概要編~

鑑定理論
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開発法の概要

先生
先生

開発法は、大規模地の鑑定評価において、必須の手法です。

生徒
生徒

開発法ってどんな手法なんですか?

 

先生
先生

開発法では、デベロッパーの標準的な収支を想定して、適正な開発者利益を確保できる土地価格を求める手法です。

生徒
生徒

なかなかイメージできませんね(汗

先生
先生

イメージできるように、順番に説明していきますね♪

開発法は、大規模地の鑑定評価で適用される手法。

不動産鑑定評価基準

先生
先生

まずは不動産鑑定評価基準を見てみましょう。

一体利用の開発法

(1)一体利用をすることが合理的と認められるときは、価格時点において、当該 更地に最有効使用の建物が建築されることを想定し、販売総額から通常の建物 建築費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除して得た価格
生徒
生徒

一体利用が合理的な場合には、販売総額から建築費と付帯費用を控除せよ・・・

生徒
生徒

そもそも一体利用とは何ですか?

先生
先生

“一体利用すること”=”マンション開発をすること”と理解して差し支えありません。

“一体利用すること”=”マンション開発をすること”
生徒
生徒

そうすると、販売総額マンションを分譲した金額の合計ですね。

生徒
生徒

建築費は、当然マンションの建築工事費の事に違いない!

生徒
生徒

うーん、発注者が直接負担すべき通常の付帯費用って何だろう・・・

先生
先生

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用は、建物建築費以外の諸経費に、開発者利益を加えたものです(要説P162参照)

生徒
生徒

開発者利益って費用なの?

先生
先生

デベロッパーに開発者利益を残すために、開発者利益支出と見做して販売総額から控除します。

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用=建物建築費以外の諸経費+開発者利益
販売総額▲通常の建築費相当額▲発注者が直接負担すべき通常の付帯費用=開発法の試算価格

分割利用の開発法①

 

先生
先生

再び、不動産鑑定評価基準に戻りましょう。

 

(2)分割利用をすることが合理的と認められるときは、価格時点において、当該更地を区画割りして、標準的な宅地とすることを想定し、販売総額から通常の 造成費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用控除して得た価格
先生
先生

“区画割して、宅地を分譲すること(宅地分譲)”を述べています。

生徒
生徒

建築費造成費に代わっただけですね。

販売総額▲通常の造成費相当額▲発注者が直接負担すべき通常の付帯費用=開発法の試算価格

分割利用の開発法②

先生
先生

“区画割して戸建住宅として分割すること(建売分譲)”分割利用の一つです。

生徒
生徒

どのように試算するんですか?

先生
先生

販売総額から、建築費造成費付帯費用を控除するだけです。

生徒
生徒

更地で分譲するのではなく、建物を建てて、土地建物一体で分譲するので、建築費も控除するんですね!

販売総額▲通常の造成費相当額▲通常の建築費相当額▲発注者が直接負担すべき通常の付帯費用=開発法の試算価格

まとめ

開発法には、一体利用・分割利用がある。
一体利用はマンション開発、分割利用は宅地分譲又は戸建分譲を想定する。
すべての収入から、すべての支出及び開発者利益を控除すると開発法による試算価格が得られる。

土地価格を求めてみよう

先生
先生

一体利用(マンション開発)を例に、数字を使いながら、理解を深めていきましょう。

<設例>
あるデベロッパーが、土地を購入しようとしています。3億円の建築費で分譲マンションを建てて、個人にマンションを分譲し、総額15億円の分譲収入を見込んでいます。このとき諸々の諸経費は2億円と見積もっています。このデベロッパーは2.5億円の利益を確保したいと考えています。土地をいくらで購入すれば良いでしょうか。
先生
先生

開発法による試算価格を求める算定式は覚えていますか?

生徒
生徒

すべての収入から、すべての支出(開発者利益を含む)を控除する!

先生
先生

もう少し具体的には?

生徒
生徒

販売総額▲通常の建物建築費相当額▲発注者が直接負担すべき通常の付帯費用=開発法による試算価格

先生
先生

では、算定式に金額を代入してみてください。

生徒
生徒

販売総額15億円▲通常の建物建築費相当額3億円▲発注者が直接負担すべき通常の付帯費用4.5億円開発法による試算価格7.5億円!

先生
先生

発注者が直接負担すべき通常の付帯費用はどのようにして求めましたか?

生徒
生徒

諸経費2億円+開発者利益2.5億円=4.5億円!

生徒
生徒

ちゃんと開発者利益支出と見做しておきました♪

先生
先生

正解です!

生徒
生徒

簡単!簡単!


不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

二つの開発法

先生
先生

実は開発法の計算パターンには2種類ありまして・・・

先生
先生

「不動産鑑定評価基準」の開発法と「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」の開発法では少し違います。

生徒
生徒

今までの開発法は、どちらの開発法なんですか?

先生
先生

「不動産鑑定評価基準の開発法」です・・・

生徒
生徒

試験に出るのはどちらの開発法?

先生
先生

不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」の開発法です・・・

生徒
生徒

ガーン(涙

先生
先生

「不動産鑑定評価基準」の開発法は、計算問題ではまず出ません。

生徒
生徒

ガーン(涙


留意事項の開発法

 

先生
先生

「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」では以下のとおり開発法を定めています。

開発法によって求める価格は、建築を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総額を価格時点に割り戻した額から建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は土地の造成費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を価格時点に割り戻した額をそれぞれ控除して求めるものとする。
先生
先生

基本式を表すと以下の通りです。

生徒
生徒

急に難易度上がりましたね。わたし文系なので、理解できません!

先生
先生

順番に理解していけば大丈夫です。

生徒
生徒

二つの手法の違いを教えてください。

先生
先生

「不動産鑑定評価基準」の開発法は、開発者利益を金額で直接控除します。

先生
先生

「留意事項」の開発法は、現在価値という考え方を用いて、開発者利益を間接的に控除します。

生徒
生徒

よくわかりません・・・

先生
先生

「留意事項の開発法」に進む前に、現在価値について学習しましょう。

開発法には2つの手法がある。
不動産鑑定評価基準と不動産鑑定評価基準運用上の留意点では、開発法が異なる。
「留意事項」の開発法は、現在価値を用いて試算する。

現在価値

先生
先生

いま1億円貰うのと、1年後に1.1億円貰うと、どちらがいいですか?

生徒
生徒

多いほうがいいので、1年後に1.1億円!!

先生
先生

もし、年間30%の運用益を株で確実に儲けられるとしたら?

生徒
生徒

年間30%で運用できるなら、早くお金もらった方が得かも・・・

先生
先生

年間30%で運用できるなら、いま1億円を貰うと、株で運用して1年後には1.3億円になりますね。1年後に1.1億円貰うよりお得ですよね?

生徒
生徒

確かに・・・

先生
先生

では年間10%だったらどうでしょう?

生徒
生徒

いま1億円貰って、運用益が10%だから1年後には1.1億円になる。1年後貰えるお金も1.1億円・・・

生徒
生徒

あれ?同じだ!

先生
先生

そうです。この場合、同じなんです。

先生
先生

このケースでは、1年後(将来)の1.1億円現在の1億円同価値ということになります。

生徒
生徒

ふむふむ・・・

先生
先生

つまり、1年後の1.1億円の現在価値は1億円となります。

生徒
生徒

現在価値は、将来のお金を今の価値に直した価値っていうことですね?

先生
先生

その通りです!

先生
先生

現在価値は、1.1億円÷(1+10%)=1億円で求められます。

先生
先生

この10%のことを割引率といいます。

生徒
生徒

割引率?投下資本収益率じゃないんですね?

先生
先生

開発法では割引率を投下資本収益率と呼んでいます。

生徒
生徒

紛らわしいですね・・・

先生
先生

収益還元法では割引率、開発法では投下資本収益率と呼ぶと覚えてしまってください。

現在価値=将来価値÷(1+投下資本収益率)
現在価値は、将来のお金を現在の価値に換算したもの
収益還元法では割引率、開発法では投下資本収益率と呼ぶ。

現在価値を求める意味

先生
先生

さて・・・

先生
先生

いま1億円を誰かにあげるのと、1年後に1.1億円を誰かにあげるのでは、どちらが嫌ですか?

生徒
生徒

なんか既視感がありますね。

先生
先生

年間10%で運用できるとすれば、いま1億円あげても、1年後に1.1億円あげても同じですね。

生徒
生徒

まぁ、そうでしょうね。

基本的にさっきと同じですもんね。

先生
先生

まとめると、現在価値とは「将来の収入又は支出を現在の価値にしたらいくらになるのか」という概念です。

先生
先生

また、現在価値を求めるということは、「将来価値から将来の利益を差し引くということ」を意味しています。

生徒
生徒

株の運用益を差し引いたのが、現在価値ですもんね。

現在価値を求めるということは、将来値から将来の利益を差し引くということ。

複利現価率

先生
先生

現在価値は、複利現価率を使うと簡単に求めることができます。

生徒
生徒

複利現価率?

先生
先生

複利現価率とは、将来価値を現座価値に直す率です。

先生
先生

将来の1.1億円の現在価値を求める時に、1.1億円÷(1+10%)=1億円の計算をしましたね?

生徒
生徒

将来の1.1億円を1+投下資本収益率で割ってるんですよね。

先生
先生

ちょっと式を変えますね。

1.1億円÷(1+10%)=1億円

1.1億円×1÷(1+10%)=1億円

1.1億円×0.90909091=1億円
先生
先生

逆数にしただけです。

先生
先生

この0.90909091が複利現価率です。

生徒
生徒

なんか難しいですね・・・

先生
先生

複利現価率は(1+投下資本収益率)の逆数と覚えておいてください。

将来価値×複利現価率=現在価値
複利現価率は(1+投下資本収益率)の逆数

留意事項の開発法の計算

先生
先生

では、いよいよ「留意事項」の開発法を勉強していきましょう。

生徒
生徒

やっと試験に出る開発法ですね!

先生
先生

「留意事項の開発法」は、直接開発者利益を控除するのではなく、投下資本収益率(複利現価率)を使って、間接的に開発者利益を控除します。

生徒
生徒

イメージが湧きません・・・

先生
先生

実際の数字を使って見ていきましょう。

<設 問>
販売総額:15億円
建物建築費:3億円
付帯費用:2億円
販売総額の複利現価率:0.8
建築費の複利現価率:0.9
付帯費用の複利現価率:0.9
※付帯費用に開発者利益は含まれていません。
先生
先生

ここで留意事項をもう一度読んでみましょう。

建築を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総額を価格時点に割り戻した額から建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は土地の造成費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を価格時点に割り戻した額をそれぞれ控除して求めるものとする。
先生
先生

収入の現在価値から支出の現在価値を控除すれば、開発法の試算価格が求まると書いてありますね。

先生
先生

収入の現在価値はいくらになりますか?

生徒
生徒

販売総額15億円複利現価率を掛けて・・・

生徒
生徒

15億円×0.8=12億円

先生
先生

次に建物建築費の現在価値はいくらになりますか?

生徒
生徒

3億円×0.9=2.7億円

先生
先生

最後に付帯費用の現在価値を求めてください。

生徒
生徒

2億円×0.9=1.8億円

先生
先生

収入の現在価値から支出の現在価値を控除するといくらになりますか?

生徒
生徒

12億円▲2.7億円▲1.8億円=7.5億円

先生
先生

良くできました。

先生
先生

この7.5億円開発法による試算価格となります。

生徒
生徒

先生!開発者利益は控除しなくていいんですか?

先生
先生

現在価値に直す際に差し引いているので問題ありません。

生徒
生徒

間接的に開発者利益を控除するってこういうことだったんですね!

先生
先生

間接的に控除するので、ここで使う付帯費用には開発者利益は入ってません。

生徒
生徒

むずかしい・・

先生
先生

試験問題を解くには、機械的に収入の現在価値から支出の現在価値を控除するって覚えてしまってもいいですよ。

生徒
生徒

それなら出来そうだ!

収入の現在価値▲費用の現在価値=開発法の試算価格
※開発者利益は控除しない!
留意事項の開発法は、現在価値を算定する際に、間接的に開発者利益を控除するため、別途控除する必要はない。

次回予告

 

先生
先生

開発法の流れは掴めましたか?

生徒
生徒

収入の現在価値から支出の現在価値控除すればいいんですよね!

先生
先生

そういうことです。

先生
先生

次回は問題演習をしながら、細かいテクニックも学習していきましょう。


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